医師のポイ活+α ~呼吸器外科医~

ポイ活に力を入れ始めた呼吸器外科医。ポイ活の経過と、日々の臨床の学習について書き綴ります。

気管ステント

 

気管ステント

気管ステント留置を要する症例があり、久しぶりなのでもう一度整理しました。

適応

  • 気管内の腫瘍の増大により軌道の確保が難しい場合
  • 不安定な気道状態(気管気管支瘻や気管気管支軟化症を含む)
  • 気道内径が50%以上狭窄し、呼吸器症状を有する(手術や放射線がより適応であるものは除外)

種類(よく使うもの)

Dumon stent

シリコンチューブで全身麻酔下に硬性気管支鏡で入れる。気道狭窄や気管支瘻のゴールドスタンダードと評価されている。

〇メリット

  • 気道内腔の保持力、耐用性が良い
  • いつでも取り出し、位置の修正が可能

〇合併症

  • ステントの移動
  • ステント内の気道分泌物の貯留
  • 肉芽形成

〇適応

気管~気管分岐部狭窄、気管気管支瘻など(治療経過により、抜去を考える症例に良い)

 
Ultraflex stent
nitinolを密に編んで作られたステント
self expandableでリリース直後は完全に拡張しておらず、徐々に拡張する
※留置直後は位置調整可能
〇メリット
  • 狭窄部の内腔にフィットしやすい
  • 刺激が少ない
  • 移動がほとんどない
  • 留置後も上皮化される前であれば比較的簡単に抜去できる
  • covered stentであれば、網目の間から出てくる腫瘍や肉芽の増殖も防止できる

〇合併症

  • あまりない(上皮化した後だと抜去しにくいくらい?)
〇適応
ほとんど上に同じ(抜去を考えない症例に選びがち)

 

注意点:

いずれも事前に気管の径と狭窄している長さを計測しておく

Dumonは全身麻酔なのでope室確保、Ultraflexは透視室を確保

 

参考文献

気管支鏡テキスト 第3版

気管支鏡テキスト 第3版